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自賠責基準にご注意を~交通事故の被害にあったとき、損をしないための基本~

 交通事故の被害にあったとき、加害者が任意保険に加入していれば、保険会社と示談交渉をすることとなります。
 これまでに、慰謝料に注意することと主婦でも休業損害を請求できることを記述してきました。
 今回は、自賠責基準に関する説明をしていきます。

 運転免許を所持している方はご存知でしょうが、自動車の保険には、強制保険である自賠責保険と、加入するか否かは任意である任意保険とがあります。
 自賠責保険も、任意保険も、交通事故の加害者になってしまった場合に負う損害賠償金を加害者に代わって支払ってくれるものです。
 では、なぜ、自賠責保険以外に任意保険に加入するのでしょうか。
 答えは簡単。
 自賠責保険は限度額が決まっており、自賠責保険の限度額では、加害者になってしまったときに負う損害賠償責任をまかないきれないことが多いからです。
 任意保険は、このように、自賠責保険ではまかないきれない部分をカバーすることに意味があります(他に示談代行などのメリットもあります)。
 つまりは、

Point裁判基準は自賠責基準より高いことが多い

からこそ、自賠責の他に任意保険に加入する意味があるのです。
 これを逆から見ると、

Point交通事故の被害者になってしまったときに請求できる金額も、自賠責基準より高いことが多い

ということになります。
 こう書くと、何を当たり前のことを思われる方もいるかもしれませんが、私の経験上、

保険会社は、初回の示談提示の際、自賠責基準を提示してくることがある

のです。
 いやいや、自賠責基準で提示されても、それを飲まなきゃいいんでしょ、と思う方もおられるでしょう。
 しかし、自賠責基準がいくらかということを、法律の専門家以外は知らないでしょう。
 すると、保険会社から、この金額でどうですか? と示談金額を提示された際、それが自賠責基準の金額とは知らずに、示談をしてしまうことが多いのです。
 このように、示談をする前に、自賠責基準で提示されているか否かというところは、最低限、注意すべき箇所の一つといえるでしょう。

 それでは、これから簡単に自賠責基準を記述していきますが、今回は、とくに自賠責基準で提示されることが多い後遺障害部分について記述していきます。

 後遺障害部分の自賠責金額は以下のとおりとなります。

※自賠責では、傷害部分と後遺障害部分は別に算定されます。ここで記述するのは、後遺障害部分のみです。

別表第1
1級:4000万円
2級:3000万円

別表第2
1級:3000万円
2級:2590万円
3級:2219万円
4級:1889万円
5級:1574万円
6級:1296万円
7級:1051万円
8級:819万円
9級:616万円
10級:461万円
11級:331万円
12級:224万円
13級:139万円
14級:75万円

Point保険会社から、上記の金額を提示されたら、自賠責基準で請求されていないか、低い金額ではないのか、注意する必要があるでしょう。

 ちなみに、私の経験上、とくに14級の場合は、後遺障害部分を75万円と提示してくる例が多いです。
 しかし、たとえば、むち打ち損傷で14級認定された主婦の場合は、慰謝料110万円+逸失利益約77万円(平成23年賃セ、労働能力喪失期間5年で計算)=約187万円が請求できることがあります(赤い本基準で算出)。
 一番低い等級でもこれだけの差がある可能性があるのですから、注意したいところですね。

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