弁護士ブログ

修習生募集を見かけたら手当たり次第応募vs一筆入魂~司法修習生の就職活動について考える~

※注意事項

 まず、はじめに、今回の記事は相当意見が分かれるところかと思われます。
 この記事を真に受けることによって就職活動において不利になる可能性は十分あります。

 また、修習生を採用する事務所側には不快感を与えるかもしれませんので、あらかじめ、お詫び申し上げます。

とりあえず、応募すべきか

 日弁連のひまわり求人・求職ナビを見ると、現段階でも、かなりの数の修習生募集がかけられています。
 こういった募集に対しては、とりあえず、応募してみるべきでしょうか。
 それとも、入念に調査をして、これだと決めた事務所に対してのみ、一筆入魂の履歴書を送るべきでしょうか。
 私の意見としては、採用する側の気持ちを理解しつつ、自分の立場を基準にして決定すべきだと思います(すごいあいまいですね)。

募集する側の気持ち

 募集する側としては、大量生産の履歴書には辟易としています。
 私の、ゼミの先輩(とはいっても10歳くらい上ですけど)は都内の某事務所でパートナーをされていますが、その先生が修習生を公募したときは、1人の募集に対して、200人以上の応募がきたそうです。
 大量の履歴書に目を通さないといけない人間にとって、大量生産の履歴書に目を通すのは苦痛です。
 他に見るべきところがなければ、大量生産の履歴書は、とりあえず、すぐにでも切り捨ててしまいたいものでしょう。
 むしろ、こんなもの送ってくるな、と言いたいでしょう。
 採用する側としては、うちの事務所に入りたい、という熱い気持ちが伝わってくるような丁寧な履歴書を待ち望んでいることでしょう。

じゃあ、応募先を絞って、魂を込めた履歴書を送れば採用されるか

 答えはNOです。
 採用する側としては、

「もっと熱い履歴書を送ってこいよ!」

 とは言っても、実際に熱い履歴書を送ったからといって採用するとは言っていません。

 地方の公募に対する反応はいまいちわかりませんが、少なくとも、都内の事務所の公募については、倍率100倍超もめずらしくありません。
 たとえば、修習生を数人採用する予定の事務所であれば、お、こいつ面白いな、と思われた人にもチャンスは十分あるでしょう。
 ただ、たいていの事務所は、採用人数は一人です。
 面白い人間よりも優秀な人間を採用したい、と思う方が多いでしょう。

 熱い気持ちが込められた履歴書が、大量生産の履歴書(司法試験上位合格者のもの)に負ける、という事態は珍しくありません。

採用面接に呼ばれなければお話にならない

 修習生の採用基準は、その事務所ごとに違いますし、採用選考基準は外部からでは分かりません。
 司法試験の成績を重視する事務所であれば、どんなに熱い履歴書を書いたところで、司法試験の成績だけで蹴られることもあるでしょう。

 採用面接にすらたどり着けない、というのは決して珍しい事態ではない、ということをまずは認識すべきでしょう。

 そして、当然のことながら、面接にたどり着けなければ何の自己アピールもできません。

手当たり次第応募すべきか

 それでは、『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』理論のもとに、とりあえず、手当たり次第募集に対して応募すべきでしょうか。
 これを書くと、諸先生方からはお叱りを受けるでしょうが、私は、肯定派です。

 修習生の採用基準は、その事務所によってバラバラです。
 司法試験の成績上位者を採用したい事務所、若い人を採用したい事務所、女性を採用したい事務所、気の合う人を採用したい事務所、筋肉質な人を採用したい事務所……。
 比率としては、司法試験の成績上位者かつ若い修習生に魅力を感じる事務所多いでしょうが、意外なほどに基準はバラバラです。
 そしてその基準を部外者が知る由はありません。

 ここの事務所なら入れてくれるかもしれない、と思った事務所には門前払いされたが、このレベルの事務所だと自分を求めていないだろうなぁ、と思いつつダメ元で応募した事務所では、意外に採用面接までたどり着けることがあります。

 応募先を『厳選する』といえば聞こえは良いかもしれませんが、それは、自分の可能性を狭めていることに他なりません。
 意外なところで両思いになれるかもしれませんので、私は、とりあえず気になった事務所には応募してみることをおすすめしています。

じゃあ、大量生産の履歴書を送りつけるべきか

 これも答えはNOです。
 弁護士として自分がしたいことはあるでしょうから、その点を曲げる必要はありません。
 ただ、さすがに、大量生産の履歴書は、すぐにバレてしまうでしょうし、採用する側に不快感をもたらします。
 そこで、あらかじめ一定の型を作っておいて、応募先の事務所に合わせて、ある程度カスタマイズするのはいかがでしょうか。
 いうなれば、パターンオーダーです。

 高い金を出して、修習生を雇う以上、レディメイドの履歴書に対しては、お客さん(採用する側)も拒否反応を見せるでしょう。
 ただ、一事務所一事務所を研究し尽くしたフルオーダーの履歴書を全事務所に対して作っていては、さすがに、職人(修習生)の手はまわりません。
 そこで、型紙をあらかじめ作っておいて、お客さん(修習生を募集する事務所)が現れたら、お客さんに合わせて手を加えるという方法をご提案します。

 もちろん、この事務所にどうしても入りたい、という事務所があれば、自分の時間を削ってでも、フルオーダーの履歴書を作るべきなのは言うまでもありません。
 自分の時間と相談しながら、フルオーダーの履歴書とパターンオーダーの履歴書を使い分けるのです。

 以上が私の見解となります。
 ただ、これについては、相当に賛否両論があるところでしょう。
 これを実践して不利になる可能性は十分に考慮しておいてください。

【追記】

 オーダーメイドとかフルオーダーってなんじゃそりゃ、と思われるかもしれませんのでちょっと追記します。
 ようは、どれだけ手をかけるか、です。
 手書きにしてみたり、お客さんの寸法(採用する側の情報)をどれだけ細かく調査するか、という点で使い分けることになるでしょう。

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