弁護士ブログ

面接の想定問答その2~司法修習生の就職活動について考える~

Q:これから弁護士が生き残るには、どうすれば良いと思いますか?

 弁護士の大増員時代を迎え、資格をもっているというだけでは食っていけない時代が訪れようとしています(既に訪れているかもしれませんが)。
 これについて、どう考えているか、どのようにして自分たちは生き残っていくか、という質問です。
 意外に質問されることが多いように思われます。

回答例1

「専門化だと考えます。一つ一つの分野の専門家になることによって、事件処理のクオリティが上がり、時間を短縮でき、さらにはその分野に関する、顧客の信頼が増すことによって更なる依頼につながると考えます」

解説

 無難な回答です。
 ここまで言えれば、基本的に問題ないでしょう。こういった回答をする修習生は多いように思われますし、実際に、そのように考えている弁護士も多いと思われます。
 この後は、

「では、どんな分野の専門性を獲得するとよいですか?」

とくるでしょうから、それに対する回答を用意しておくと良いでしょう。

 ただ、この解答には致命的な弱点があります。
 それは何かというと、どうやって専門性を獲得するか、ということです。

 専門性を獲得するには、多数の事件をこなすことが不可欠です。
 しかし、どのようにして、特定の分野の事件を集めるかというと非常に難しいものがあります。
 専門性を獲得できるだけの、多数の事件を集めてこれるようであれば、そもそも、生き残り策を論ずる必要性は低いです。
 専門性の獲得が生残りのカギだとわかっていても、肝心の専門性獲得の手段がなく、手をこまねいている弁護士も多いです。

 こう解説すると、簡単に、ホームページで集めれば良い、と言われる方もいらっしゃいますが、そう簡単にはいきません。
 ホームページで特定の分野の事件を集客しようとすると、それなりに手間や資金をかける必要があります。
 また、ホームページを使った集客には否定的な弁護士もいることは否定できませんので、ホームページで集客というだけで、そういうのは事務所のカラーにあわない、と言われる可能性もあるでしょう。

 したがって、この回答では、集客方法を質問されたときに、弱いと言わざるを得ません。

回答例2

「一件一件の事件に丁寧に取り組むことで顧客満足度を高めることだと考えます。集客の方法としては、誰かからの紹介というのは非常に大きいと思います。自分に信頼を置いてくれている顧客がいれば、たとえ事件が終わった後でも、良い弁護士はいないか、と困っている人に、自分を紹介してくれることが期待できます。時間はかかるかもしれませんが、お金もかからない、最良の広告方法だと考えます」

解説

 良い回答と思われます。
 紹介案件しかやらない、という弁護士はいまだに少なくありません。
 そういった昔ながらの弁護士には、「お、わかってるねぇ」と好感をもたれる可能性が高いでしょう。

 ホームページで集客している弁護士でも、このことを軽視していません。
 口コミは、お金がかからない非常に重要な広告手段であることは認識しています。

 また、想定問答その1でも解説しましたが、採用する側の事務所としては、事務所事件をしっかりやってくれるか気になっている人が多いです。
 そういった人にも、「仕事をしっかりやりますよ」とアピールできています。

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