Q:当事務所の志望動機を教えてください。
これもよくある質問ですね。
一般の企業でもよくきかれますし、法律事務所でもよくきかれます。
ただ、つらい点としては、一般企業の情報は探せばけっこう出てくるのに対し、法律事務所の情報というのは探すのが困難なため、まずは情報収集が重要です。
質問に回答するためにも、まずは情報収集をしておきましょう。
回答例1
離婚事件などの一般民事を雑多にやりたくないからです。
御事務所が主に取り扱われているような企業法務分野にたずさわりたいと考えたためです。
解説
ダメ回答ですね。
○○という分野をやりたくないから~というのは、言う必要はありません。
ネガティブな理由をあげるべきではありません。
これに対する切り返しとしては、
面接官「離婚やりたくないって言ってるけど、たとえば顧問先の社長から離婚の相談があったとき、君はどうするの? やりくないって言って、俺にやらせるの?」
修習生「いえ、もちろん、事務所事件である以上、やらせていただきます。ただ、離婚事件はメインではやりたくない分野でして……」
面接官「つまり、嫌々やるってこと? 嫌々仕事をやる人には、大事な顧問先の関連案件をまかせたくないなぁ」
と予測されます(ちょっといじわるですが)。
最近は、法律事務所も専門化が進んでいます。
しかし、その分野に深化したからといって、他の事件は一切取り扱わないという事務所はそうそう多くはないでしょう。
弁護士の集客手段は、今でも口コミ(紹介)が主なものです。
誰かから紹介されてきた案件について、「うちではやってないから」と帰してしまっては、紹介してくれた人まで信用を失います。
そのため、ある特定の分野しかやりたくない、という人は、採用する側としても扱いづらく、魅力が減ってしまいます。
あと、情報収集ができていない時に、よくあるパターンとしては、「離婚事件やりたくないって、うちは離婚事件メインなんだけど……」といったふうに、修習生の希望と事務所の取扱分野の相違が明らかになってしまうことがありますので、その点でも避けるべきでしょう。
回答例2
御事務所がメインで扱っている企業法務分野をやりたいからです。紛争予防業務には強くひかれます。
解説
無難回答です。
面接での受け答えの基本は、ポジティブな回答です。
ただ、これだけでは問題もあります。
・企業法務がどういうものか、いまいち分かっていないように思われます。面接官からは、「君が思う企業法務ってどんなの?」ときかれるでしょうから、あらかじめ、自分がやりたい分野については、修習の指導担当弁護士や弁護教官に根掘り葉掘りきいておきましょう。ちなみに、中小企業の企業法務となると、こちらのほうが不利な立場であることも少なくありません。そういった場合には、こちらの要望をあまり容れてくれないので、完全に紛争を予防するのは不可能ですので、いかにしてリスクを抑えるかが重要となります(まったく応じてくれないなら、せめて、考えられるリスクを説明し、それに備えさせる)。
・その事務所でなくてはいけない、という動機が見えてきません。これだけでは、『企業法務を扱う事務所ならどこでも良い』というふうにしか見えません。きちんと情報収集し、その事務所でなくてはいけない、という理由くらいは考えておきましょう。
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