今回は、治療費に関して解説していきます。
交通事故の被害にあったとき、治療費は加害者の保険会社が支払ってくれることが多いでしょう。
病院で診察を受けるときに、健康保険証を提示することもないでしょう。
加害者の保険会社が全部払ってくれるから、なんの問題もないじゃん、と思われる方も多いでしょう。
しかし、ちょっと待ってください。過失が問題になるケースでは、それはリスクになります。
過失相殺
交通事故の被害にあったとき、どちらが悪いかといえば、当然、加害者のほうが悪いでしょう。
しかしながら、加害者が100%悪くて、こちらには何の過失もない、という事故は少ないでしょう。
信号待ちで停車中に、後ろからぶつかられたような場合は別ですが、通常、被害者側にも何らかの落ち度があります。
こういった説明を受けると、加害者が悪いのにおかしい、とおっしゃられる方がいますが、加害者が悪いことは当然です。ただ、加害者が悪いことと、自分の側に何らかの落ち度があることとは別の問題なのです。過失割合は事故ごとに変わってくるのでここで細かな解説はしませんが、過失割合が0:100の事故はむしろ少ないということを頭にいれておいてください。
さて、被害者の側に何らかの過失があるときに、何が問題になるのでしょうか。
答えは、過失相殺です。
過失割合(どちらがどれだけ悪いかという割合です)が、30:70の事故だとします。
被害者は、加害者に対して、治療費や慰謝料などの損害賠償請求をしますが、30:70のケースでは、損害賠償の金額のうち、3割が減額されてしまうのです。
過失が問題になるとしても、治療費は、既に支払ってもらっているんだから、影響ないんじゃないの、と思われる方もいるでしょう。
しかしながら、
Point過失相殺は、示談段階で、支払済みの治療費にも適用される
すなわち、
Point保険会社がこれまで払った治療費について、後になって返せといわれる
のです。
これをきくと、えーっ、そんなバカな、と思われる方も多いでしょう。
しかしながら、保険会社は治療費の立替払いをしているに過ぎません。過失相殺は、治療費にも適用されるのです。
かなり難しい説明をしてきたので、具体的な事例をもとに見ていきましょう。
ケース
Aさんが自動車を運転中、Bさんの自動車がぶつかってきました。
Aさんは病院で治療を受けましたが、治療費が100万円かかりました。
治療費は、Bさんの加入している保険会社が全額払ってくれました。
その後、示談交渉になりました。過失割合が30:70の事故の場合、保険会社はなんと言ってくるでしょうか?
答え
支払済みの治療費のうち、30万円は、本来、Aさんが負担するものです。
慰謝料から30万円差し引きますね。
こういったことになります。
そうすると、
Point過失相殺が問題になるケースでは、治療費がかかるほど、損をする
ということになります。
ただ、だからといって、病院にいく回数を減らすのはよくありません。
治療費を気にするあまり、適切な治療を受けられず、深刻な後遺症が残ってしまっては、お金では解決できなくなります。
じゃあ、どうすれば良いの? と思われる方もいるでしょう。
解決方法は、
Point治療費を安くすれば良い
のです。
治療費を安くすると言っても、治療費を値切るわけではありません。
Point健康保険を利用して通院することによって、治療費は安くなります。
加害者の保険会社が治療費を支払う場合、通常、自由診療となっていることが多いでしょう。
自由診療は、保険診療の枠にしばられないかわりに、一般的に治療費が高くなる傾向にあります。
それに対して、健康保険を利用して通えば、治療費を安く抑えることができます。
交通事故でも健康保険は利用できる
このことはぜひ、覚えておくと良いでしょう。
長くなってきましたので、今回はここまで。
次回、健康保険を利用するよう方法やデメリットについて、解説していきます。
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