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健康保険の使い方とメリット・デメリット~交通事故の被害にあった方のために~

 前回、交通事故の被害にあった場合は、過失相殺が問題になることがありうること、その場合は、治療費も一部自己負担になること、そのため、治療費を安く抑えるために、健康保険を利用する方法があることを説明しました

健康保険の利用方法

 健康保険の利用方法といわれても、単に保険証を出すだけだろ、と思われる方も多いでしょう。
 しかしながら、交通事故など誰かにケガをさせられた場合には、単に保険証を窓口で提示するだけでは利用できません。
 自分の加入する健康保険組合に、『第三者行為による傷病届』というものを提出する必要があります。
 全国健康保険協会のホームページに手続が書いてありましたので、こちらをご覧ください。
 なお、これはあくまで全国健康保険協会に加入している方のためのものです。
 国民健康保険に加入されている方は市町村の保険窓口で手続をしてください。

健康保険利用のメリット

・治療費が安くなる
 これが最大のメリットでしょう。
 健康保険を使わず、自由診療にした場合、そもそも、1点あたりの単価をいくらにするかということは、厳密には患者と医師の契約で定まりますが、現実問題、医師が決めているのが通常です。
 1点あたりの単価としては、20円~25円程度が多いのではないでしょうか。
 ケガの内容によって治療費の総額は変動しますが、交通事故でよくある、むち打ち損傷の場合でも、自由診療であれば、総額で70万円ほどかかることが多いです(私の経験上)。
 健康保険を利用した場合には、1点10円とされています。
 したがって、健康保険を利用するだけで、そもそもの治療費が半額程度になることが多いです。

 文字だけだと、分かりにくいので簡単に計算してみましょう。
※わかりやすくするために単純化していますが、自由診療と保険診療では、治療の内容が違うことがありますのでご注意ください。

 自由診療で単価1点20円、総額で100万円かかる治療を受けたとします。
 過失割合が30:70であれば、示談の段階で、30万円治療費を請求されます。

 これに対して、健康保険を利用した場合、そもそも1点あたりの単価が10円なので、総治療費は50万円になります。
 ここから過失相殺すると、15万円が治療費となります。

 つまり、健康保険を利用することで、15万円も得することになります。

 ちなみに、健康保険の自己負担割合は通常3割ですが、残りの7割は、健康保険組合が加害者に対して請求することになりますので、ここでは計算に含めていません。

健康保険利用のデメリット

・嫌がる医療機関もある
 健康保険を利用することにより、一般的に、医療機関の報酬も減ります。
 また、後述しますが、治療も保険診療の枠で縛られることになります。
 そのため、嫌がる医療機関があります。

・治療の幅が狭まる
 保険診療では、治療の幅がどうしても保険診療の範囲内に限られます。
 これに対して、自由診療では、保険診療の枠にはとらわれないので、一般的には、治療の幅が広いといえます。
 ただ、北河隆之『交通事故損害賠償法』(弘文堂・平成23年4月15日・101ページ)は、「交通事故による受傷で,自由診療でなければできない治療はほとんどないといわれている」としています。

 健康保険の利用方法、メリット・デメリットは以上の通りとなります。
 交通事故の被害にあった後、不幸にして後遺症が残ってしまった場合には、治療にあたった医師の協力等が必要になる場面もあります。
 メリット・デメリットを踏まえ、医師と相談する等した上で、利用するか否か判断してください。

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