交通事故の被害にあった方は、必ずしも訴訟を起こさなければいけないわけではありません。
大部分の交通事故被害は、交渉で解決しているでしょう。
しかしながら、交渉で解決する場合でも、訴訟で解決する場合でも、弁護士に依頼して正当な損害賠償を求めるのは、取り得る選択肢の一つです。
でも、弁護士に依頼するとなっても、当然、弁護士の報酬が発生します。
こういった弁護士報酬はちゃんと填補してもらえるのでしょうか?
訴訟をした場合だけ弁護士費用がもらえる
交渉で終了した場合やADR(日弁連の交通事故相談センターによる示談あっせんなど)で解決した場合には、弁護士費用は認められないのが原則です。
これに対して、訴訟をした場合には、弁護士費用の一部が損害として認められます。
訴訟をしても、弁護士費用は全額は認められない
残念ながら、いくら高い弁護士費用を払って訴訟をしても、払った弁護士費用全額が賠償されることは通常ありません。
損害額の10%程度が弁護士費用として認定される傾向にあります。
10%というと少ないように思われるかもしれませんが、交通事故での損害額はかなり大きな金額になることが多いです。
損害額が多くなれば多くなるほど、増えていくのですから、10%でもかなりの金額になることがあります。
たとえば、極端な例ではありますが、約1億9410万円の賠償が認められた事例では、約1941万円が弁護士費用として認められています(東京地判平成20年11月27日・交通民集41巻6号1502ページ)。
ただし、弁護士費用が認められるのは、弁護士に依頼している場合だけです。
弁護士で、この項目を請求するのを忘れる方はさすがにいないでしょうが注意したいところです(近年の弁護士の不祥事の数々を見ていると、いない、と言い切れないのが怖いところです)。
弁護士費用特約をお忘れなく
このように、訴訟をしても、かかった弁護士費用は、全額がまかなわれるわけではありません。
交渉やADRで解決された場合には、そもそも、1円も認められないでしょう。
ただ、こういうときこそ、弁護士費用特約を活用すべきです。
弁護士費用特約は、訴訟をしなくても(交渉やADRで解決をはかっても)、弁護士費用を支払ってもらえるのが通常です。
また、金額も原則300万円まで、火災保険の場合は100万円までまかなえるタイプの保険が多いようです。
弁護士に依頼する前に(後でも構いませんが)、自分の保険や家族の保険、もしくは火災保険や家財保険等に弁護士費用特約がついていないか確認すべきでしょう。
弁護士費用特約に加入していても、弁護士費用の賠償が認められることも
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の全額または大部分が保険でまかなわれるでしょう。
しかし、弁護士費用特約に加入しているケースでも、弁護士費用の支払いを認めた事例もありますので注意が必要ですね(名古屋地判平成22年2月19日・交通民集43巻1号217ページ)。
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