弁護士ブログ

今週の気になったニュースまとめ

新聞紙

By: Jon S

 2013年9月22日~9月28日分の気になったニュースのまとめです。

取り調べ 全てに可視化の導入を(信濃毎日新聞)
 取調べの可視化の問題。
 捜査官の裁量による一部録画の案が出てますが、一部だけの録画であれば、むしろ可視化しないほうが良いのかもしれません。
 その理由としては、第一に、捜査官が被疑者に対して脅迫的な言葉を用いたりして、発覚すると自分にとって都合の悪い取調べを行うとき、素直に録画しないんじゃないかという疑問があるからです。
 実際、取調べの場面では、強引な手法が用いられることがあります(だからこそ、可視化の問題が出てきたのですが)【参考】証拠改ざん隠蔽:検察改革道半ば 捜査問題あり84件(毎日新聞)
 捜査官もバカではありません、というより、むしろ賢い方が多いです。
 そういった賢い捜査官が、後々で問題になる可能性が高いシーンをちゃんと録画するかというと、まず、しないでしょう。
 ですので、我々、弁護士が問題視しているような取調べは、可視化の対象から外れ、闇に葬られる可能性が高いです。
 第二に、映像のインパクトです。検察は、現在、録画された映像を自分たちの立証の一手段として用いています。【参考】取り調べ可視化で検察有利?映像のインパクトで裁判員に有罪印象付け(Jcast
 映像のインパクトというのは絶大です。
 弁護人が、自白の任意性・信用性に問題があると指摘したところ、検察が裁量で録画した一部の映像のみを出してきたとします。
 被疑者が泣きながら、自身の犯罪を告白する場面を見た裁判官や裁判員は、自白の任意性及び信用性には問題ない、と判断するでしょう。
 泣いている理由が捜査官が脅迫的な言動を用いているからでも、検察官が起訴したストーリーどおりに犯罪を告白している理由が単に検察官が自身のストーリーをあらかじめ話し、そのとおりに自白するよう強要していたとしてもです。
 弁護人がそういったことを主張しても、録画されていなければ証拠に乏しいです。
 単に絶大なインパクトを誇るシーンだけが残されることになるからです。
 このように、一部録画は危険性を内包する運用であり、一部録画をもって、検察改革が進んだなどと評価するのには疑問があります。
【関連】
取り調べ可視化「実務的に定着」 検察長官会同で検事総長(琉球新報)
 
取り調べ映像、NHKが再度放送 弁護士懲戒請求の要因(朝日新聞)
 報道機関としては当然かもしれませんが、勇気ある選択ですね。
 権力に屈するようであれば、報道機関としての存在意義はほとんどなくなってしまうでしょう。
 ただ、個人的には、検察が圧力をかけてきた現状からすると、こうやってちょろっと取り上げるのではなく、むしろ、大々的に取り上げるべきではないかな、と思います。

<東北電力>「賞与なし」一転、臨時給与 社外口外禁じる(Yahooニュース)
 秘密というのは、きちんと管理して、特定少数の人間しか知らないからこそ、秘密に出来ます。
 大多数の人に、「これ、秘密だよ」と言って話をすれば、そんな秘密は簡単にもれます。
 企業法務の一環として、機密保持契約をチェックしたりする身としては、東北電力ほどの大企業がこういうことをするのに、ちょっと驚きでした。
 私だったら、全従業員に秘密にするように通知しても、情報が漏れて大問題になるんだから、やめなさい、とアドバイスします。

「通知弁護士」が所得隠し=所属会、実態調査せず-国が税理士業務停止(時事ドットコム)

市議に訴訟費請求も いまだに支払われず 習志野市(千葉日報)

カルテル捜査、米弁護士に聞く 日本企業が注意する点は(朝日新聞)

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