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自己破産のデメリット1~財産はすべて持っていかれるのが原則です~

 今回から破産のデメリットについて解説していきます。
 第1回目は財産処分について解説していきます。

自分の財産は全て失うのが原則

 破産をすると、原則として、自分の財産はすべて失うこととされています。
 それはなぜかと問われると、破産ってそういう制度だから、としか答えられません。

 破産というのは、

(1)破産者の持っている財産をすべてお金に換えて
(2)(1)のお金を、法律に従って公平に配当する手続

だからです。

 ですので、自分の財産は全て失うのが原則となります。

家族の財産は持っていかれません

 もっとも、失うのはあくまで破産者の財産だけです。
 破産者の家族がいくらお金を持っていようが関係ありません。家族には、破産者を助けなければいけない法的な義務なんてないのですから、たとえば親が大金持ちでも破産をすることに支障はありません。
 破産者以外の財産は、原則として、もっていかれる対象にはならないのです。

例外:自由財産

 破産者は自分の財産を持っていかれるのが原則と書きましたが、原則には例外があるものです。
 破産者といっても、生きる権利までは奪われません。
 そして、現代日本では、お金がないと生活できません。お金がないと生きていくことすら難しいです。
 そのため、破産者が生活していくために必要なお金は手元に残してくれる、という制度があります。

 これが自由財産というものです。
 自由財産に関しては、また日を改めて解説しますが、消費者破産であれば、破産者は何も財産を失わないというケースも少なくありません。
 破産は、あくまでも財産は全て失うのが原則ということは頭にいれつつ、手元に残せる財産もある、ということも頭に入れておくと良いでしょう。

自由財産では守れない財産も……

 といっても、生活に必要不可欠だけど、この自由財産制度を使っても維持できない財産があります。
 その代表例が、ローンで買った自動車(ローンが残っているものに限る)やクレジットカードで買った物品(これも支払いが残っているものに限る)です。

 自由財産というのは、あくまでも、破産手続から財産を守る制度です。
 これに対して、ローンで買った自動車やクレジットカードで買った物品は、破産をする際に持っていかれてしまいますが、これには破産法は関係ありません。
 単に、契約で決まっているからです。

 すなわち、所有権留保といって、ローンやクレジットカードの分割払いで購入した物品は、完済するまで、ローン会社やクレジットカード会社に所有権が留保されています。つまりは、完済してはじめて、自分のものになるのです。完済するまではローン会社やカード会社の物ですので、残りの分割金を支払えなくなった時点(破産をしますという通知を送った時点)で、引きあげられてしまっても文句は言えないというわけです。

 破産のデメリットの解説は以上となります。
 破産をすると全てを失うというイメージが強いでしょうが、手元に残せる財産もあることは覚えておくと良いでしょう。

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