・借金が免除になる
自己破産の最大のメリットです(このほかに、任意整理のメリットでも説明したように、貸金業者からの請求がとまる、というものがありますが、ここでは自己破産のメリットにおける最大の特徴である、借金免除について解説していきます)。
ちなみに、正確には、破産手続と免責(借金を免除するか否かを裁判官が決める手続き)は別ですが、実務上は、ほとんど一つのものとして運用されています。
ただ、ここで注意が必要なことは、
・全ての借金が免除になるというわけではない
・絶対に免除されるというわけではない
ということです。
詳しくは、個別に後日、解説していきますので、ここでは簡単にふれておきましょう。
Point免除されない負債もあるので注意
非免責債権といって、一定の負債は免除にならないとされています。
免除されない一番典型的な例は税金です。
とくに個人事業主の方は、税金が免除の対象にならないことに注意しておくべきです。
個人事業主の方は、取引先に対する支払いや銀行からの借入れが滞ったりすると、仕入れができなくなったり、資金がショートしてしまうので、ついついそういったデメリットが少ない税金を後回しにしがちな方が多いです。
そして、事業が回らなくなっところで、「もう破産しかない。でも、破産すれば借金が免除になる」と思い、弁護士に相談に行ったところ、申し訳なさそうな表情をした弁護士から「税金は免除されませんよ」と驚くべき事実を告げられる。こういった事態が非常に多いように感じます。
税金をなめてはいけません。むしろ、なめている人ほど滞納額が多いです。
破産しても免除にならない負債がある、ということ(とくに税金)は、経営者は必ず知っておくべきです(会社にだけ請求が来ている税金は、通常、破産で消えてしまいますが、それは免除されるわけではなくて単に会社が消滅することの反射的効果です)。
このことは、起業を志す方向けのマニュアル本やビジネス本にはもれなくのっけてほしいレベルのことです(それだけ知らない方が多いですし、知って愕然とする方が多いです)。
Point一定の場合、免責不許可になることがある
これも注意すべきです。
破産をすれば絶対に借金が免除になる、というものではありません。
極まれに免責不許可(裁判官が、「借金は免除しません」と決定することです)となることがあります。
そうすると、破産をして財産をとられただけで借金は免除にならない、という最悪の事態が待ち受けています。
もっとも、免責不許可となるケースは極まれです。
浪費があっても、免除になるケースが大多数です。
ただ、あまりにひどいこと(たとえば、一発逆転を狙ったのか、既に支払不能になっているのに、カジノに行ってさらに莫大な借金をこさえてきたり、破産をする前の最後の晩餐といわんばかりに常識では考えがたい豪遊をしたり、破産手続きに協力しないような場合)をしなければ、通常、免除になりますので、ご安心ください。
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