破産をすると、転居や旅行が制限されることがあります。
このデメリットについて解説していきます。
破産手続中は、転居・旅行の際に裁判所の許可が必要
破産法37条1項では、次のように定められています。
「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」
許可の対象となるのは、破産手続中だけですが、転居・旅行の際には裁判所の許可という要件が必要となります。
許可が必要となる旅行・出張とは
破産法では、「居住地を離れることができない」と規定されていますが、これを文字通り解釈すると、たとえばちょっと買い物に行ったり、会社に行くのにもすべて裁判所の許可が必要になるように読めます。
でも、そんなバカなことはありませんのでご安心を。
許可が必要となるのは、
・宿泊を要する出張や旅行
・宿泊を要しないとしても遠隔地間の出張や旅行
などです(竹下守夫編『大コンメンタール破産法』2007年11月5日・青林書院・148頁参照)。
許可が下りないことってあるの?
出張する際も許可が必要となると、仕事に差し支えるのではないかと思われるでしょうが、これもご安心を。
破産の手続に支障がない限り、通常、許可はおります。私の経験上、許可が降りなかったケースは1件もありません。
なぜこういった許可が必要なのかというと、破産者が逃走したり、財産を隠してしまったりすることを防止するために過ぎません。破産者に嫌がらせをしているわけではありませんので、破産手続に支障が生じるくらいの長期出張等でなければ問題なく許可は得られるでしょう。
転居・旅行の制限が生じるケースは、実は多くない
さらに、破産手続には同時廃止といって、破産手続が開始するのと同時に終了するものがあります。とくに財産がなく、借入原因にも問題がない人は、この同時廃止になります(なお、ケースバイケースです)。
同時廃止事件では、転居・旅行の制限はありません。なぜなら、破産手続自体終わってしまっているからです。
転居・旅行の制限が生じるのは、破産管財人がつくケースだけですので、そもそも、転居・旅行も制限されないというケースもよくあります。
まとめ
以上をまとめると、
・転居や旅行の制限が生じるのは、管財事件のみ(それほど多くない)
・制限があっても、通常、許可はおりる
ということになります。
それほど大きなデメリットというわけではありませんね。ご参考になりましたら、幸いです。
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