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給与所得者等再生を使えるのってどういう場合?

 個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。
 原則として、小規模個人再生で問題ないでしょうが、給与所得者等再生を使う場合もあります。
 今回は、給与所得者等再生について詳しく解説していきます。

給与所得者等再生の特徴

 給与所得者等再生の特長は以下の通りです。

(1)債権者(借入先)が反対しても個人再生ができる
【関連】小規模個人再生の場合は、反対多数だと再生計画が認可されません

(2)可処分所得の2年分以上を返済する再生計画をたてなくてはいけない(返済総額増額のおそれ)

(3)収入が安定している人しか利用できない(民事再生法239条1項)

 (1)と(2)については、『小規模個人再生と給与所得者等再生の違い』をご覧ください。今回は、(3)について解説していきます。

収入が安定している人ってどんな人?

 さて、収入が安定しているといっても、どういった人があてはまるのでしょうか。
 まずは、条文から見ていきましょう。
 民事再生法239条1項は、このように規定しています。

 「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの」

 変動の幅が小さいとはどういう場合を言うのかは、後ほど解説するとして、まずは、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者」から解説していきます。

給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者

 まずは、サラリーマンのような給与所得者は問題なくこれに当てはまるでしょう。
 ほかに、どういった人が当てはまるのでしょうか。

アルバイト

 アルバイトも給与所得者ですが、じゃっかん不安定といえます。
 ただ、長期間続けているようなアルバイトであれば、これまでの実績からして、今後も安定して給与を得られる見込みがあるので、問題ないです。
 また、アルバイトを始めたばかりでも、今後、継続して働く予定です、などと上申書をつければ問題ないでしょう。

個人事業主

 定期的に収入が得られていれば、問題なく当てはまるでしょう。
 収入に波があって不安定でも、多い月の収入できちんと少ない月の返済に回せるようであれば「定期的な収入を得る見込みがある者」に当たるでしょう。

年金受給者

 年金も「定期的な収入」に当たることは明らかですね。
 そのため、問題なく利用できるでしょう。

額の変動の幅が小さいと見込まれるもの

 給与などの金額の変動の幅が小さいという要件ももりこまれています。
 これにあてはまるのは、いったいどういう場合でしょうか。

 書籍(東京地裁個人再生実務研究会『個人再生の手引』平成23年12月15日・判例タイムズ・372頁)によれば、「年収換算で5分の1未満の額の変動であれば安定性がある」と解されています。

 年収で5分の1以上の変動があるか否かがポイントですね。

 給与所得者等再生を利用できる場合の解説は以上となります。
 自分が給与所得者等再生を利用できるか疑問を感じたら、まずは、弁護士に相談してみてください。

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