故人名義の預貯金は、当然、相続財産になります。
しかしながら、預貯金は相続税の申告の際に申告漏れになりやすい財産の一つです。
なぜなら、どこにいくら預貯金があるかは故人しか知る余地がない上に、株式などと違って、銀行から定期的な通知も届かないのが一般的だからです。
故人がすべての預貯金の所在を書いて遺してくれていれば良いのですが、そういった事態はまれです。
そこで、今回は預貯金の見つけ方について考察していきます。
キャシュカードなどの持ち物から推測する
預金通帳をつくると、ほとんどの方は、キャッシュカードも作っているでしょう。
故人の財布の中にキャッシュカードがあれば、そこから預貯金の存在が推測できるでしょう。
また、振込明細を財布の中などに大事に入れている方もいらっしゃいます。
振込明細が見つかれば、そこから預貯金を推測できるかもしれないです。
通帳から他の預貯金を推測する
通帳の記載から、他通帳の存在が推測できることがあります。
たとえば、故人の氏名が「甲野一郎」さんだとすると、「甲野一郎」さんへの振込みが見つかれば、それは自身が保有している他の預貯金口座に送金している可能性が高いです。
そのため、だいたい5年分位、故人名義の全通帳の整合性をチェックするという方法もあります。
また、子どもや孫など、他人名義の口座に送金している可能性もあります。
定期的に送金していたり、多額の送金をしている場合には、名義は子どもや孫の預貯金になっているけど、実質的には故人の財産、ということもありえます(または、生前贈与をしていた可能性もありますね)。
取引履歴を取り寄せる(有料)
通帳は、定期的に記帳をしないと、記載が省略されてしまいます。
また、古い通帳を捨てたりしていると、古い通帳の記載を確認できないことがあります。
そういった場合には、取引履歴を取り寄せる方法が考えられます。
銀行などの金融機関は、口座ごとに取引の履歴を保存しておりますので、これを取り寄せることで省略されたり、なくしてしまった通帳の取引履歴を確認できるでしょう。
ただし、これは一般的に有料ですので、注意してください。
ネット銀行に注意
このほか、インターネット銀行に口座を開設している人の場合、そもそも預金通帳を持っていない可能性があります。
そのため、故人のパソコンのブックマークや閲覧履歴から、インターネット銀行の口座を探すことが考えられます。
故人以外の名義の預貯金に注意
口座の名義は、故人以外のものでも、実は、故人の財産の預貯金である、ということがあります。
たとえば、子どもや孫には完全に内緒で、お金を入金しているような場合です。このような場合は、名義は子どもや孫でも、その預貯金は故人の財産であると考えることができます。
名義人の年齢や収入から、故人の財産であるかを判断されると良いでしょう(たとえば、5歳の孫の名義で1000万円預金していたとしても、5歳の孫には、一般的には、収入がないでしょうから、名義人である孫の財産と考えるのではなく、故人の財産と考えて相続税の申告をされると良いのではないでしょうか。もっとも、生前贈与をしている可能性もありますので、その点の注意も必要です)。
預貯金が誰のものであるかは、必ずしも名義だけでは決まらないことに注意されてください。
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