前回、相続人確定の基本について解説しました。
今回は、一歩進んだお話です。
死亡した人(被相続人)に養子がいた場合、養子も実子と同じように相続人になれるのでしょうか?
答えは、『なれる』です。
養子縁組は、法律上の子になることを意味します。
法律上の子も子であることには変わらないので、相続の場面においては、実子と養子、実親と養親の区別はありません。
また、特別養子縁組をした場合を除いて、養子縁組をしたからといって、実親との関係は切れません。
したがって、養子となった人は、養親の相続人となることもできますし、実親の相続人になることもできます。
以下、これでは味気ないので、ケースで考えましょう。
※子がいないとしている場合、孫やひ孫はいないことを前提としています。
(代襲相続を排除するためです)
ケース1
Aさんが死亡しました。
Aさんには、妻のBさん、実子のCさん、Dさんに加え、養子にしたEさんがいました。
この場合の相続人は誰か?
ケース1の答え
相続人は、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん。
養子も相続人になれます。
ケース2
Aさんが死亡しました。
Aさんには、実子がいませんでしたが、養子としてBさんがいました。
Aさんの父親Cさんと母親Dさんは生きています。
この場合の相続人は誰か?
ケース2の答え
Bさんのみ。
子どもは、第一順位の相続人になります。
第一順位の相続人がいる場合、第二順位である親(CさんとDさん)は相続人にはなれません。
ケース3
Aさんが死亡しました。
Aさんには、実子も養子もいませんでした。Aさんの父Bさんと母Cさんは存命しています。
この場合、通常ですと、第二順位のBさんとCさんが相続人になりますが、Aさんは、Dさんの養子になっていました。
Dさんも存命している場合の相続人は誰か?
ケース3の答え
Bさん、Cさん、Dさんの3人。
DさんはAさんの養親にあたります。
したがって、Dさんは第二順位の相続人になりますが、特別養子の場合を除いて、養子になったからといって、実親の子であることに変わりはありません。
~代襲相続が発生する場合~
さぁ、ここまででかなり混乱してきたかもしれませんが、さらに一歩すすめます。
詳しくは、代襲相続の項目を明日書きますので、そちらをご覧いただきたいのですが、被相続人の子が、相続が発生する前に死亡していた場合、その子の子(つまり孫)がいた場合には、孫が相続人となります。
これを代襲相続といいますが、代襲相続と養子縁組がからむ場合がありますので注意してください。
ケース4
Aさんが死亡しました。
Aさんには、養子のBさんがいましたが、Bさんは、Aさんが死亡する前に死亡していました。
Bさんには、子どもCさんがいます。
このほか、Aさんの父Dさんと母Eさんも存命しています。
相続人は誰か?
なお、Cさんは、AさんとBさんが養子縁組した後に、生まれたものとします。
ケース4の答え
Cさんのみ。
養子縁組をした場合でも、代襲相続は認められます。
ただし、代襲相続が認められるのは、あくまで、縁組後に出生した子だけです。
縁組前に出生した子には、代襲相続は認められません。
なぜなら、縁組前に出生した子は、養親との間に法定血族関係が発生しないからです。
以上、養子縁組と相続のお話でした。
相続人の確定と単純にいっても、なかなか難しいお話を含むものです。
次回は、代襲相続(たいしゅうそうぞく)についてふれていきます。
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