自己破産のデメリットの解説。
第6回の今回は、郵便物転送について解説していきます。
破産をすると、郵便物が管財人に転送される
破産法81条1項で、裁判所は、破産者宛ての郵便物を、破産管財人に対して配達するように嘱託できる、とされています。
法文上は、「できる」となっているので、転送されないようにしておくことも想定されますが、ほとんどのケースでは、転送されていますね。
ちなみに、東京地裁では、特段の事情がない限り、全権回送嘱託を行っている(竹下守夫編『大コンメンタール破産法』2007年11月5日・青林書院・345頁参照)ようです。
何で破産管財人に郵便物を転送するの?
破産管財人に対して郵便物が転送される理由は、郵便物の中身を見て、主に
(1)ほかに借入先がないか
(2)ほかに財産がないか
を調べるためです。
(2)の財産調査で想定されるのは、親が子ども名義でかけていた生命保険や定期預金なんかが発見されるケースですね。
自分が知らないうちに、親が子どものためを思って、子どもの名義で生命保険をかけていたり、定期預金をかけたりすることがよくあります。この場合、子どもはそのことを知らないことが多いですが、親がかけていても、子どもの財産とみなされることが多いです(争いがありますが)。
破産管財人に転送された郵便物は最終的にどうなるの?
管財人は、受け取った郵便物を破産者に返します。
方法としては、債権者集会の日に手渡されたり、破産管財人の事務所に呼ばれた際に、直接受け取ることもあります。
でも、一番、ネックとなりやすいのが以下の方法です。
転送された郵便物がきっかけで破産をしたことが家族にバレることが!?
破産管財人が、破産者に郵便物を返す方法として、破産者に対して郵送で返すことがあります。
ただ、そのまんま郵便物を投函しては、破産管財人のところに転送されてしまいます。
そこで、郵便屋さんに対して、『この郵便物は、破産管財人が送ったものなので、破産者に直接送って大丈夫ですよー』と分かるようにしなくてはなりません。
すると、『破産管財人からの郵便物のため、転送不要』と赤で書かれたりすることがあります。
そして、郵便物をたまたま見たご家族がビックリ! お前、破産したのか、とバレてしまうことがあるのです。
このように、郵便物転送がきっかけとなって家族に内緒で破産ができなくなる可能性がある、ということはデメリットとしてあげられるでしょう(あらかじめ、破産管財人に、郵送ではやめて、と話しておくと、気をきかせてくれることもありますが、絶対というわけではありません)。
ちなみに、同時廃止になれば、郵便物転送は行われませんので、案件の見通しをきちんとたてることも重要です。迷ったらまずは弁護士に相談されると良いでしょう。
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