個人再生を利用するメリットの一つとして、住宅を残すことが出来る(住宅ローンを別扱いできる)と以前解説しました。ちなみに、これを住宅ローン特例(正式には、住宅資金貸付特別条項といいます)といいます。
ただ、ありとあらゆる住宅を残せるというわけではありません。
以下に解説する要件『全て』(どれか一つじゃダメです)を満たす住宅だけ別扱いできることとなります。
要件1
個人再生をする人が建物を所有していること。
たとえば、親名義の建物に抵当権をつけてお金を借りているような場合(たとえば、不動産担保ローンなど)には利用できません。
所有というのは、共有も含みます。
不安でしたら、法務局に行って登記簿謄本を取得して、確認されると良いでしょう(所有に関することは、登記簿謄本の甲区に記載があります)。
要件2
個人再生をする人の「居住の用に供する建物」であること。
「居住の用に供する」というのはちょっと難しい表現ですが、もちろん、現に居住している場合を含みます。
これだけではなく、たとえば転勤で一時的に別の場所に住んでいるような場合を含んでいるから、このように、ちょっと分かりにくい表現となっています。
ちなみに、誰かに貸しているようなマンション(賃貸用マンションや投資用マンション)、親御さんのために買ってあげて、現に親御さんだけが住んでいる建物などは含まれませんので注意してください。
要件3
床面積の2分の1以上が自分の居住の用に供されていること。
これは、店舗兼住宅のような場合を想定しています。
店舗の床面積が全体の2分の1以上のような場合には、もっぱら店舗用として認定されてしまい、個人再生で残すことはできません。
他に、2世帯住宅のような場合も問題になることがありますね。2世帯住宅といっても、ここからここまでがこっちの世帯、といった具合に物理的に独立していなければ問題ありません。世帯が物理的に独立していて、かつ、生活実態としても、それぞれ別々に生活しているような場合に問題となるに過ぎません。
要件4
建物が複数ある場合には、主として居住のよう供する建物だけ残せる。
要件1~3を満たす建物が複数あっても、一つしか残せませんよ、という意味ですね。
以上が個人再生で残せる住宅です。
たいていの方はこの要件でひっかからないのですが、まれに、この要件を満たしているか問題になる方もいらっしゃいます。
悩んだら、まずは、専門家に相談しましょう。
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