離婚と破産の関係に関する解説の第3回は、養育費の解説です。
養育費を支払う義務のある人が破産をする場合、養育費の支払義務等はどうなってしまうのでしょうか。
養育費は破産をしても免除されません
養育費という言葉を明確に定めた条文はありませんが、養育費は民法766条1項の「子の監護に要する費用」にあたります。
そして、破産法253条1項4号ハは、民法766条が規定する子の監護に関する義務は破産をしても免除されない、と規定しています。
つまり、破産をしても養育費(将来の分はもちろん、未払分も含む)の支払義務は免除されないのです。
養育費も相当な金額を超えている場合には、無効になる可能性
もっとも、財産分与の場合と同様、養育費を取り決める際に、養育費としてはあまりに不相当な金額を定めては無効になる可能性があります。
つまり、養育費を装った、ただの財産隠し(破産をすると、原則として、破産者の財産はすべてとられてしまうので、破産をする前に、養育費名目で元妻に財産を渡してしまう)と見られるような場合です。
養育費として相当な額がいくらかというと、これは、算定表がありますので、こちらを参照されてください。この算定表の範囲内の養育費であれば、少なくとも、養育費を装った財産隠しとみられることはないでしょう。
相当な金額の養育費を支払うのは?
では、相当な金額の養育費であれば問題ないかというと、これも、財産分与の場合と同様、見解がわかれることになりそうですが、養育費として相当な範囲内であれば、無効にはならないでしょう(全国倒産処理弁護士ネットワーク編『破産実務Q&A200問』平成24年12月15日・一般社団法人金融財政事情研究会・99頁)。
養育費の一括払いは無効になる可能性
問題となりやすいのは、養育費の一括払いです。
・相当な金額の養育費であれば無効にならない
→だったら、相当な金額の養育費を将来の分も含めて払ってしまおう
と考えた場合はどうでしょう?
これは危険です。養育費は、あくまでも日々発生するものです。
一括払いは原則として不必要なものです。
そのため、特に一括払いをすべきと認められる特段の事情がない限り、無効となる可能性が高いでしょう。
以上が養育費の支払義務がある人が破産をする場合の注意点等です。
「おれは破産をしたから、養育費の支払義務もない」、といわれたらきちんと反論していきましょう。
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