人が死亡すると、相続が開始されます(民法882条)。
相続の順序や割合については法律が定めていますが、相続はあくまで個人の財産を分配するものです。
国の定めと違う相続方法を定めることはもちろん、可能です。
この法律とは違う相続方法を指定する方法の一つとして、遺言があります。
遺言は、相続の内容を一変させるものなので、非常に重要なものですが、遺言書がどこにあるのか問題になることがあります。
なぜなら、遺言書の場所や下手をすると、遺言を書いたこと自体内緒にしているため、書いた本人以外は、遺言書がどこにあるのかわからないことがあるからです。
そこで、今回は、このような遺言書の探し方について解説していきます。
亡くなられた方が、「遺言を書いたよ」と言っていたけど、どこにあるのかわからない、という場合等に参考にされてください。
遺言には主に3種類あります
探し方の前の基礎知識として、遺言の書き方には3種類あることを頭に入れておいてください。
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
・自筆証書遺言
の3種類です(ほか、危急時遺言と隔絶地遺言がありますが、これはかなり特殊な遺言なので省略します)。
公正証書遺言と秘密証書遺言の探し方
公正証書遺言と秘密証書遺言は、公証役場を使って作成している点がポイントです。
日本公証人連合会では、現在、遺言書検索システムというものを設けています。
これは、どの公証役場からも依頼ができる優れものです(遺言を書いた人の公証役場以外でもOK)。
遺言書検索システムを使えば、遺言を作成した公証役場が判明します。
遺言を作成した公証役場がどこかわかっても、内容が分からないじゃないか、と思われるかもしれません。
しかし、ご安心を。公正証書遺言であれば、遺言を作成した公証役場に謄本(コピー)をください、と請求できます。
もっとも、秘密証書遺言の場合には、そもそも遺言書の内容は公証役場に知らされていません。内容は秘密で、作成したことだけを公証してもらっているからです。
そうすると、後日解説する、自筆証書遺言の探し方・見つけ方にあるように、なんとか探し出さなければいけません。
ただ、秘密証書遺言を利用される方は非常に少ないので、あまり心配される必要はないでしょう。
ちなみに、このシステムで検索できるのは、おおむね平成元年以降のものとなります。
遺言書検索に必要な書類
利用者本人が行く場合
遺言書検索に必要な書類は以下のとおりです。
1.遺言書を書いた人が死亡したことが分かる資料(除籍謄本など)
2.検索システムを利用する人が相続人だとわかる資料(戸籍謄本)
3.検索システムを利用する人の本人確認資料(AorBのいずれか)
A:運転免許証などの顔写真入りの公的機関が発行した身分証明書+認印
B:実印+印鑑賞証明書(3か月以内に発行されたものに限る)
代理人に行ってもらう場合
遺言検索システムを利用したいけど、忙しくていけないという方は、代理人に行ってもらうこともできます。
その場合の書類は、
1.遺言書を書いた人が死亡したことが分かる資料(除籍謄本など)
2.検索システムを利用する人が相続人だとわかる資料(戸籍謄本)
に加え、
3.検索システムを利用する人の印鑑証明書(3か月以内に発行されたものに限る)
4.検索システムを利用する人の実印が押された委任状
5.窓口に行く代理人の本人確認資料(AorBのいずれか)
A:運転免許証などの顔写真入りの公的機関が発行した身分証明書+認印
B:実印+印鑑賞証明書(3か月以内に発行されたものに限る)
以上となります。
次回は、自筆証書遺言の探し方について解説していきます(とは言っても、これ見つかるかわからないんですが)。
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