弁護士ブログ

相続が発生したら、注意すべき3つのポイント

 今回は、一般の方向け(実務家の先生方向けではありません)の記事です。
 人が死亡すると、相続が発生します。
 相続というのは、簡単に説明すると、亡くなった方が持っていた財産と借金を分配する手続きです。
 人が一生のうちで弁護士に相談・依頼する機会は、一度や二度程度でしょう(もちろん、個人差があります)。
 ただ、相続は、人が亡くなったときに、当然に開始されるものです。
 たとえ法的トラブルとは無縁の人生を歩んでいても、相続に直面することはあるでしょう。

 相続に関する詳しい知識を知りたい方は、書店で相続に関する本を探してみてください。たくさんの良書が出ています。
 (いずれ、このブログでも記事にするかもしれません)
 しかし、大量の情報に接すると、それだけで情報を理解することをあきらめてしまうことがあると思われます。そこで、この記事では、相続に関する重要情報のうち、3つに限定して、『私が考える』最低限抑えておきたい知識を記述していきます。
 ※当然、これ以外にも重要な情報はあります。一般的に重要になることが多い知識という程度で考えてください。

Point1.プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金)も相続する

 相続というのは、預金、不動産(土地や建物)、株式など、価値のある財産をもらうものであって、故人の借金は関係ない、と勘違いされている方を時折見ます。
 相続をすると、原則として、借金も相続することとなります。
 借金はいらないけど、プラスの財産だけ欲しいという気持ちはわかります。
 しかし、お金を貸している人としては、お金を借りた人(亡くなった人)の財産をアテにしてお金を貸しています。それが、借りた人が死亡すると、アテにしていた(それを売ったりすれば返してもらえると思っていた)財産には手を出せなくなり(生きているうちであれば、差し押さえたりできたにも関わらず!)、貸したお金を回収できないというのは、ちょっと貸主さんに不利になりすぎますよね。
(※このかっこ内は細かい知識ですので、わからない人は読み飛ばしてください。遺言で、特定の財産だけ相続人以外の第三者に遺贈したりすれば、被相続人に借金があるにも関わらず、プラスの財産だけ受け取るということが理論上可能になるでしょう。もっとも、その場合は、財産分離もからんでくるでしょうね)。

Point2.相続放棄には期間制限がある

 1の借金も相続をするということを知っている人であれば、相続放棄を知っている方も多いでしょう。
 相続放棄というのは、借金も財産も要らないよ、と言える制度です。
 相続放棄をすることで、プラスの財産を相続できなくなりますが、マイナスの財産(借金)も相続しなくてすみます。
 ただ、相続放棄は、相続の開始があったことを知った時(通常は、死亡したことを知った日が多いでしょうね)から、原則として3か月以内にする必要があります。
(一定の条件を満たせば、3か月を経過していても、相続放棄ができることはありますし、この3か月という期間を延長する制度もあります)

Point3.相続放棄は家庭裁判所で申述する必要がある

 これを知らない方が多いように思います。
 相続放棄は、単に、「私は相続放棄をするぞ!」と言い張るだけではできません。
 きちんと手続きをとる必要があります。
 時折、亡くなった方の不動産の名義移転をするために、他の相続人から、

「相続放棄してくれ。司法書士の先生に作ってもらったこの書類にサインして印鑑押すだけで良いから」

と言われて、サイン・押印して、相続放棄をしたと思ってらっしゃる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
 それが、本当に相続放棄の申述書ならば良いのですが、たいていは、違うでしょうね(相続分の譲渡なり放棄のケースが多いでしょう)。

 私の経験上、勘違いや誤解の発生しやすいポイントをあげました。
 ただ、相続で問題となるのケースはこれだけではありません。
 ケースバイケースでポイントも変わってきますので、まずは、お近くの専門家に相談すると良いでしょう。

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