評価損は立証が必要な項目です。
くわしくは次回解説しますが、査定をとるなどして立証することになります。
しかしながら、この評価損というのは算定が困難な項目の一つです。
査定どおりの金額で判決が出るということはあまり多くありません。
それでは、裁判所はどのように評価損を定めているのでしょうか。
修理費を基準にする裁判例が多い
裁判例を見る限り、修理費を基準として評価損を認定するものが多いです。
文献(海道野守『裁判例、学説にみる交通事故 物的損害 評価損 第2集‐3』平成14年6月10日・保険毎日新聞社(以下、『評価損』といいます)・21ページ)によると、修理費を基準としたものが裁判例中51.3%と半数以上を占めています。
それでは、修理費の何パーセントが評価損として妥当なのでしょうか。
評価損は修理費の30%程度が一般的
修理費の何パーセントを評価損として認めれるか、これもまた難しいところはありますが、『赤い本』に掲載されている判例を見る限り、修理費の20%~30%を評価損として認定する裁判例が多いようです。
また、裁判例を詳細に分析した『評価損』(22ページ)によれば、「裁判所では評価損算出方法として修理費の30%とすることが一般的であるといえる」としています。
これらのことから、修理費の30%程度を評価損の基準として、自動車の車種や初年度登録からの経過期間、修理費用の大きさに応じて増減させるのが妥当といえるでしょう。
今回はこの程度です。
次回は、評価損の立証(証明)方法について解説していきます。
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