評価損の金額は修理費の30%程度と前回解説しました。
しかしながら、
(1)事故車を修理をしました。
(2)修理費は100万円でした。証拠として明細を提出します。
(3)評価損は30%です。とくに証拠はないけど、裁判例を見る限り、これくらいでしょ
こういって、裁判所は評価損を認めてくれるかというと、そうはいきません。
裁判官からは、主張と証拠の違いを説明され、きちんと立証するよう求められるでしょう。
それでは、どのように立証すればよいのでしょうか。
日本自動車査定協会の減価証明書
裁判でもよく使われるのが、日本自動車査定協会の減価証明書です。
評価損がいくらか、ということを査定してくれるわけです。
ただ、利用される際には注意点が3つほどあります。
(1)査定は有料であること
日本自動車査定協会はボランティア団体ではありません。
査定を取得する際には、お金がかかることをあらかじめ認識しておきましょう。
(2)査定協会の証明書通りに評価損が認定されるわけではないこと
日本自動車査定協会の証明書は、証拠として有用であり、裁判でもよく使われています(各種裁判例を見る限り)。
ただ、実際の裁判で査定協会の証明書通りの評価損が認定されるかというと、むしろ、修理費を基準として認定されることが多いので注意したいところです。
(3)評価損は100%認められるものではないこと
評価損は100%認められるものではありません。
否定する裁判例もあります。
少し古い文献(平成14年発行)ですが、裁判例を分析した書籍では、評価損の認容率は67.6%でした。
つまりは、お金を出して査定をとったは良いものの、それがまったく無駄になる、ということもありうるので注意しておきましょう。
インターネットを活用する
インターネット上には様々な中古車販売サイトがあります。
そこで、中古車サイトで
(1)事故にあった自動車と同種、同年式、同程度の走行距離の自動車の価格と
(2)(1)と同様だが、修復歴のある自動車の価格の差額
をもって立証するという方法も考えられます。
ただし、そのような自動車が都合よく見つかるかというと、そう簡単にはいかないでしょう。
また、証拠価値としてもちょっと微妙なところがあります(事故歴以外の点で値段を下げられているのかもしれませんし、どういった修理をしたかによっても違いは別れてくるでしょう)。
幸運にも見つかれば印刷して保存しておく程度で良いでしょう。
評価損の立証方法はこの程度しておいて、次回は、評価損の最終回。
評価損を認めた裁判例を紹介していきます。
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