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評価損を認めた判例の紹介(修理費の30%以上の評価損を認めた判例)~交通事故の被害者のために~

 今回は、評価損を認めた判例のうち、修理費の30%以上を認めた裁判例を紹介していきます。
 過去の判例は、保険会社や裁判所に評価損を認めさせるための武器になります。
 「過去の裁判では、評価損は認められたでしょ。これと類似している本件でも、評価損は認められるはず」といえるからです。
 なお、ここでご紹介するのはあくまでも評価損を認めた判例の一部です。
 基本的には自身のケースと類似した裁判例を持ち出すのがコツです。

修理費の30%を超える評価損を認めた判例

・初年度登録から3年4ヶ月が経過したポルシェ(新車価格1165万円)。損傷の大きさ(修理費用333万3893円)や市場性から修理費の40%が評価損として認められた(岡山地裁津山支部判平成7年4月25日・交通民集28巻2号671ページ)

・新車登録から約1ヵ月半が経過したトヨタ・クラウン・マジェスタ。修理未了の部分が存在する可能性を考慮し、修理費の55.9%に相当する評価損が認められた(東京地判平成8年9月27日・判例時報1601号149ページ)

・初年度登録から3年が経過したベンツ(SL2ドアオープンカー)。修理費用の大きさ(108万0209円)と10年間の塗装保証受けられないことを考慮し、修理費の46.2%に相当する50万円の評価損が認められた(千葉地判平成11年1月29日)

・新車登録から2ヶ月が経過したメルセデス・ベンツ(S320)。修理費の45.7%に相当する評価損を認めている。ただし、修理費について、原告が主張する修理費より低い金額を認定した上で評価損を認めている(東京地判平成12年3月15日・交通民集33巻2号535ページ)

・新車登録から20分のメルセデス・ベンツ(E-320T)。修理費の40%に相当する評価損が認められた(東京地判平成12年3月29日・交通民集33巻2号633ページ)

・新車登録から2ヶ月が経過しているBMW(走行距離3513km)。修理費約142万円に対し、評価損70万円が認められた(横浜地判平成17年11月17日・自動車保険ジャーナル1652号21pページ)

・初度登録から4ヶ月が経過したポルシェカレラ911(購入費用1599万7848円)。修理費222万3273円だったが、修理完了後も技術的限界から機能上の損傷が完全に回復しておらず、高速走行ができない可能性が考慮され、評価損として150万円が認められた(大阪高判平成21年1月30日・判例時報2049号30ページ)

・初度登録から3ヶ月が経過した日産GTRプレミアムエディション(購入費用約834万円)。修理後も事故前と同じ状態には戻らなかった点に着目され、リアバンパー等の修理費の約50%の評価損が認められた(東京地判平成23年11月25日・自動車保険ジャーナル1878号134ページ)

 こうしてみると、やはり、修理費の30%以上の評価損を認定するケースで特殊な事情が考慮されていますね。
 修理費の30%以上の評価損を認めた判例のご紹介はこの程度にして、次回は、弁護士・法律関連ニュースのまとめをはさんで、登録から3年以上経過した自動車の評価損を認めた判例、最後に国産車の評価損を認めた判例を紹介して、評価損に関する解説は終了とさせていただきたいと思います。

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