司法試験ゆっくり合格法の第7回です。
今回は、私が受験生時代に使用した基本書のうち、おすすめのものをあげていきます。
ただ、ここで注意が必要なのは、おすすめの基本書というのは、その人の実力に応じて変わってくるということです。
まったくの初心者の段階であれば、まずは最後まで読むことが重要なので、できるだけページ数が少ないものを使ったほうが良いでしょう。
その法律の輪郭をなんとなく把握したら、その法律に対する考え方を確立するため、著者の考え方がきっちりと書いてある本や厚い本を読むと良いでしょう。
考え方を確立したら、後は知識の補充や他の学者の考え方も把握するため、情報がコンパクトにまとまった共著の本が良いでしょう。
憲法
松井茂記『日本国憲法』有斐閣
憲法に対する考え方をこれで学びました。プロセス的憲法観にたち、一貫した考え方が貫かれており、法的思考方法を学ぶ上で非常に有用な書籍です。
ただ、プロセス的憲法観が試験本番で使えるかというと、ちょっと微妙です。
プロセス的憲法観を一から論証していっては、さすがに時間が足りなくなる可能性が高いです。
野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法』有斐閣
受験生には紹介するまでもない有名な本ですね。
松井先生の憲法で考え方の基礎を学び、この本で、知識や他の学者の考え方を補充しました。
民法
内田貴『民法』東京大学出版会
通称『うちみん』。これも受験生には紹介するまでもない有名な本ですね。
法学書とは思えないくらい、非常に読みやすい本です。初学者でもすいすい読めるでしょう。
ただ、これを読んで体系的な思考方法を確立できるかというと、いささかの疑問があります。
個人的には、この本を一度読んだら、他の本にチャレンジして民法の知識を深めることをおすすめします。
加藤雅信『新民法大系 物権法』有斐閣
物権法を理解できずに苦しんでいたところ、この本に出会いました。
詳細な記述で、一貫した考え方にたって書かれています。
民法は、平易な記述にとどめる書籍が多く、考え方を確立することが難しかったのですが、この本に出会って、考え方を樹立できました。
刑法
大塚裕史『刑法総論の思考方法』早稲田経営出版
刑法の基本原理と個々の論点を結びつけて記述されており、考え方を確立する上で非常に有用な書籍でした。
西田典之『刑法各論』弘文堂
受験生には紹介するまでもない本ですね。各種学説・判例がコンパクトにまとまっており、通読するのに適しています。
商法
神田秀樹『会社法』弘文堂
これも超有名な書籍。情報がコンパクトにまとまっており、通読するのに適しています。
ただ、この本だけだと知識が若干不足する気がします。
できれば、一度でも江頭憲治郎『株式会社法』を読むか、横に置きながら勉強すると良いでしょう。
坂井芳雄『手形法小切手法の理解』法曹会
元裁判官がかかれた本。
『理解』というタイトルのとおり、手形法小切手法の理解に資するように書かれている良書。
理解とはなんぞや、法的思考とはいかなものか、と悩んでいたころにこの書籍に出会いました。
司法試験での手形法の重要度が下がったことにより、手形法は軽視される傾向にあるようですが、学習方法に迷っていたり、壁にあたっている人には、できればこの本を一読してほしいです。
刑事訴訟法
すみません、ありません。
これだけ、理解、理解、基本書が重要だといっておきながら、刑事訴訟法のおすすめ書籍はありません。
刑事訴訟法では、判例が非常に重要ですので、田口守一『刑事訴訟法』のようなコンパクトに情報がまとまっている書籍を読んで、判例百選で判例を理解すると良いでしょう。
民事訴訟法
林屋礼二『新民事訴訟法概要』有斐閣
民事訴訟法は、『眠素』と呼ばれることもあるくらい、人によっては退屈な分野ですが、この本は違います。
非常に読みやすく、また、具体例が豊富です。
新訴訟物理論などの民事訴訟法の考え方が非常に丁寧でわかりやく解説してあります。
行政法
塩野宏『行政法』有斐閣
これもメジャーな書籍。行政法は、宇賀克也『行政法概説』とこの本が二大巨頭といった感じでしたが、私は、塩野先生の行政法があってました。
この書籍で考え方の基礎を学んだ後、宇賀先生の『行政法概説』で知識を補充しました。
おすすめの基本書はこんなところです。
ただ、私の受験生時代のおすすめのものですので、現在は、他にも様々な良書が出版されているでしょうし、また、情報が古い部分もあるでしょう。
その点は、ご注意ください。
司法試験ゆっくり合格法はこれで終わりになります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
皆様の合格の一助になれば幸いです。
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