司法試験ゆっくり合格法の第3回です。
今回は、使用した教材です。
【使用した教材】
・学者の執筆した概説書
・各科目の判例百選
基本的には、この2種類です。
【概説書を使用した理由】
予備校本ではなく、概説書を使用した理由は、それがストーリーになっており、執筆者の思考方法が伝わってくるからです。
予備校本はよくまとまっています。
しかしながら、効率よく学習することを重視しすぎるがゆえに、論点ごとにぶつ切りになっています。
また、予備校本は執筆者の考えをまとめたものというより、学説をまとめただけなので、そこには一貫する思考はありません。
(ほとんど見たことないので、さらっとめくった感想ではありますが)
司法試験は、予備校本が提供する論証ブロックを暗記して吐き出すだけでは対応しきれません。
もちろん、暗記した知識を書き出すだけで合格したという人もいるでしょう。
しかしながら、司法試験(とくに新司法試験)では、問題にあわせて柔軟に対応する現場思考が求められます(受け売りですが)。
問題文を、無理やり、自分の持っている知識にあてはまるようにして書いても評価はされません。
あくまで、その場で問われた問題に対して回答することが求められているのです。
自身の知識をもとにしつつ、その知識を応用しながら素直に問いに回答する必要があります。
なお、問題を作る側はよく予備校に対する批判をしています(自分の合格後の状況はよく知らないので、正確には、当時はしていたと思います)。
そんな予備校嫌いの試験委員の先生方が、予備校が作成した論証ブロックを吐き出すだけで合格できる試験をつくるかというと、非常に疑問があります。
推測ではありますが、むしろ、論証ブロックでは対応しきれない問題をつくってやろう、と考えるでしょう。
こういったことからも、論証ブロックの暗記を吐き出すだけでは合格は難しい試験である、と推測できます。
ただ、ここで注意が必要なのは、知識をないがしろにしているわけではないということです。
こういった現場思考などと言い出すと、知識は不要と誤解されることもありますが、そうではありません。知識は必要です。
知識という背景がなければ、現場思考も何もありません。
受験生に求められているのは、法学的な回答です。その人個人の意見ではありません。
法学には今まで積み重ねてきた膨大な議論があります。
そういった知識がないことには、法学的な回答はできないでしょう。
したがって、私は知識を軽視するわけではありません。
このように、司法試験では、論証ブロックを吐き出すのではなく、知識をもとに、問いに対して法学的な回答をすることが求められています。
では、法学的な回答ができるようになるには、どうすれば良いのか。
答えは簡単。法的思考方法を身につければよいのです。
もちろん、予備校本にのっている知識のみで、自分自身で法的思考方法を身につける方もいるでしょう。
ただ、それはなかなか難しいのではないかと思います。
私は、学者の執筆した概説書で身につけました。
概説書は、執筆した学者の、一貫した法的思考のもとに書かれています。概説書には、執筆者の法律に対するアプローチが記述されているのです。
その学者が重視する価値や論点にあたったときの解決の道筋(つまりは法的思考)などが書かれているのです。
概説書を読むことは、その学者の法律に対するアプローチ(その学者の法的思考方法)を体験できるのです。
私が概説書を利用した理由はここにあります。
学者の法的思考方法を学び、それをまねして、自身の法的思考方法を形成するのです。
木でたとえるなら、論点というのは枝葉です。
枝葉は幹から生えています。
枝葉から自身の法的思考方法を形成していくのではなく、まずは、自身の法的思考方法という太い幹を立てるのです。
その後に、論点という枝葉に関する知識を増やしていくのです。
これが私の勉強方法の基本であり、予備校本ではなく学者の執筆した概説書を用いた理由です。
【判例百選を使用した理由】
これは、新司法試験では、判例が重要といわれていたためです。
判例百選は、執筆者により方針の違いもあるので、全てが受験に役立つわけではありません。
ただ、一流の編者のもと、全体としてはかなり高いレベルでまとまっているように思います。
重要判例を読むことによって、知識を身につけると共に、論点に対する裁判所の回答方法が勉強できます。その上、その判例に対する、学者の解説も読めるので、非常に有用でした。
長くなってきたので、今回はここまで。
次回は、概説書の読み方についてふれます。
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